日当たりの良い谷間や沢の斜面などに自生する落葉高木。名前は、ウワミゾ(上溝)が転訛したもので、昔、占いでこの木に溝を彫って使用したことからといわれている。幹は高さ10-20m、径50に達する。樹皮は暗紫褐色、平滑で横に皮目がある。葉は互生し、葉身は長さ8-12cmの卵形から長楕円形、先が尖り、縁に鋸歯がある。4-5月に花は葉と同時に開き、枝先に長さ5-15cmのブラシ状の総状花序をだし、小さな白色の5弁花を多数つける。花冠から約30個の長い雄しべを突き出す。果実は径約8mmの卵円形の核果、8-9月に赤色から黒紫色に熟す。若い実を塩漬けしたものはアンニンゴ(杏仁子)とよばれ食用にされる。黒く熟した果実は果実酒で利用する。材は緻密で、建築や器具材などで利用される。庭木などで植栽される。イヌザクラによく似るが、イヌザクラは樹皮が灰白色で花柄に葉がつかないが、ウワミズザクラは樹皮が褐色で花柄の基部に葉を数個つける。
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